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専業トレーダー DaTsU

7つの贈り物




ウィル・スミスが「幸せのちから」のガブリエレ・ムッチーノ監督と再びコンビを組んだ人間ドラマ。謎めいた男の“贈り物”をめぐる意外なドラマが衝撃と感動を呼ぶ。

見知らぬ7人の男女のリストを作り、彼らの人生を探る孤独な男ベン。暗い過去を引きずる彼は、7人にある“贈り物”を届けようとしていた。やがてベンが企てた計画の全貌と、その目的が明らかになっていく。



タイトルには非常に深い意味がある。この映画はそのことに改めて気付かせてくれる。『7つの贈り物』というタイトルが意図するものは一体何なのかに、この映画の全てが詰まっているといっても過言ではない。

本作は、あの感動の大ヒット作『幸せのちから』チームが製作し、同作で主演を務めたウィル・スミスが再登板しているのだが、まず意識しておかなければならないのは、この映画は非常に重苦しい。その重苦しさは半端なものではなく、『幸せのちから』のような感動を求めて、中途半端な気持ちでふらふら観に行くような作品ではない。実際、僕が緩い気持ちで本作を試写で観たときに、鈍器でアタマを殴られたかのような強烈なしっぺ返しを食らった。それくらいのセンセーショナルな内容であることは間違いない。

ある種のサスペンスであり、ある種のラブストーリーである本作。7人の名前が載ったリストを持つ男ベン・トーマス(ウィル・スミス)が、その7人に近づき、彼らの人生を調べる。ベンは、その中で条件を満たすものに特別な贈り物をしようとしている。一体、何のために彼らに贈り物をしようとするのか。そしてその結果が何をもたらすのか。

ベンを演じたウィル・スミスの渾身の演技は、彼のこれまでのキャリアとは一線を画した、新しいウィル・スミス像を作り上げることに成功している。誰にも共有できるはずの無い極限の苦悩を抱えながらも、誰かを愛していくことと、その陰に秘められたさらなる苦悩の表現は、ウィル・スミスのキャリアでも指折りの演技だと言えよう。

本作の内容については、一切、ネタを明かすことができないので、その他の要素で本作を語ると、近年稀に見るテーマを扱っていることが衝撃的である。少なくともアプローチとしてオリジナリティがあり、かつ、観るものにしばらく立ち直れないようなダメージを与える可能性を秘めながら、それでも製作しようとしたことに、作り手の意思を強く感じる。

少なくとも僕は、ある種、感動したし、下手な予定調和よりもはるかに共感できるところが多かった。しかし、安易に感動作と表現することができない映画でもあり、賛否両論を呼ぶことは疑いようがない。恐らく、大半の人は、この結末を受け止めることに抵抗を感じるだろう。だが、こういう答えもありえるのだと教えてくれるのが映画であり、映画だからできることを本作から改めて感じる。



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